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Online Exhibition

COVID-19 Support Project By Dear Art
Online Exhibition Ed.1
#STAYHOME

April 27, 2020

本プロジェクトにおいて、皆様からのご協力とご購入で集まった[ ¥167,538 ](アーティストへお支払いする代金と決済手数料を除く全額)を、公益財団法人日本財団及び特定非営利活動法人国境なき医師団へ全額寄付致しましたことをご報告申し上げます。 (2020/7/28完了)

ご購入者の皆様や、本プロジェクトにご参加頂いたアーティストの方々をはじめとする関係者の皆様に、重ねて御礼申し上げます。
予断を許さない状況が続いておりますが、新型コロナウイルスが一日も早く終息し、日常が取り戻されることを心より祈念いたします。

改めまして、皆様のご参加に心より感謝いたします。

また、現在開催中のチャリティ企画第二弾のプロジェクト「COVID-19 Support Project With Art Collectors By Dear Art Ed.1 #Takahiro Komatsu」にて、引き続き新型コロナウイルス感染症拡大に伴う支援を行っている団体への寄付活動を行う所存です。
ぜひご覧いただき、お気に召す作品がございましたらこの取り組みにご参加いただけますと幸いです。

※本展覧会の売り上げは、作品を制作したアーティストへお支払いする代金と決済手数料を除く全額を、新型コロナウイルスと闘う医療体制への緊急支援活動を行う公益財団法人日本財団及び特定非営利活動法人国境なき医師団に寄付いたします。
(寄付先は、ご購入いただくお客様にそれぞれお選びいただきます)

COVID-19 新型コロナウイルスにより被害を受けられている全ての方々に、心よりお見舞い申し上げます。

世界中が試練多き時を過ごす中、アートの世界もそれは例外ではなく、アーティストは作品発表の機会を失い、
ギャラリーは休業を余儀なくされております。

この国難の時に、アートが何だと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
歴史が証明しているように、国の豊かさは文化の豊かさ。そして豊かさとは強さであると、私たちは信じています。

本展覧会は、2020年に大学や大学院を卒業したアーティスト達のグループ展です。

未来を担う才能あるアーティスト達の作品は、皆さんがご自宅で過ごす時間を大いに豊かなものとし、
また、この世界がこれからも豊かで強い場所でいられることを、希望とともに予感させてくれるでしょう。

Dear Artは、今後も継続してアーティストやアートの世界、そして根本的な問題に立ち向かう取り組みとして、
医療を支援する取り組みを行って参ります。

展覧会に寄せて

#うちにいよう(#Stayhome)と世界的に呼びかけられている中、私たちはこれまでとは違う生活スタイルで、多くの時間を家の中で過ごすことを余儀なくされています。
外からの刺激に慣れた私たちは、時に退屈したり、視野が狭くなっていく息苦しさを感じるかもしれません。
しかしながら、今回ご紹介するアーティスト達は、自分のごく身の回りのものから着想を得て作品を制作しており、彼らが生み出した作品は、「そのもの」を超えて、私たちを時間や空間を超えた場所へと導いてくれます。

私たちは、心のありようで、#STAYHOMEの日々に新しい世界を見つけていけるのではないでしょうか。

Artist 01
土取 郁香
Fumika Tsuchitori

土取の作品には、絵の具やスプレーを用いて描かれた、親密に寄り添う二人が登場します。
「大切にするとはどういうこと?」土取がテーマとして掲げるこの言葉は、非常に簡単そうでありながら、実はとても難しく深淵なる問題であると、大人になるほどに痛感させられます。
身を寄せあう登場人物たちはそれぞれの気配を保ちながらも時にひとりの人物であることを超え、時に溶け合いただの「形」としてそこに存在し、幻想的な雰囲気をたたえた抽象画のように佇みます。
そこには、前述の問いに対する一つの答え、あるいは問いそのものの孕む美しい矛盾が現れているようにも思えるのです。

Artist 02
村上 生太郎
Shotaro Murakami

村上は、色鉛筆を用いて静物画を描きます。その筆致は色鉛筆とは思えないほどに力強く、鮮やかな色を生み出しますが、間近に見つめると、その繊細さには驚かされるばかりです。
テキスタイルからもインスピレーションを受けているという村上は、草花や果物などにチェックやドット柄の要素を加え、まるで新種のなにかであるような、それでいてもとからそうしたモノであったような、ポップで不思議な雰囲気を持つ作品に仕上げます。
19世紀、市民文化が花開き、アール・ヌーヴォーやアーツ・アンド・クラフト運動が起こった頃に、美しい刺繍やプリントとして室内装飾や家具に用いられるようになったというテキスタイルの歴史を思い起こせば、村上の作品は身近な対象を絵画の中でより親しみやすくポップなものとして扱おうとする試みに満ちているとも言えるかもしれません。
卒展ではじめて作品を見た時、世界がこんな風に見えたらとても楽しいだろうなと、思わず笑みをもらしてしまったことを思い出します。

Artist 03
YU Sora
YU Sora

YUの作品をはじめて見たのは、彫刻棟の教室でした。
真っ白な空間に、不思議にリアルで可愛らしく真っ白な生活空間がポツンと出現しており、近づいてみればそれらは白い布の表面に黒い糸が貼り付けられたベッドや冷蔵庫や椅子、脱ぎかけの衣服などで、聞けばその下にはダンボールで形作られた土台があるのだといいます。冷蔵庫には たらこスパゲティーのレシピや買い物メモが、白い布に黒い糸の刺繍で描かれていて、その部屋に住む人のリアルな生活の香りさえ感じさせるその作品には、「帰るところ」というタイトルがつけられていました。
今回ご紹介する作品はシルクスクリーンですが、ここでもYUは、モノクロームの世界で身の回りの何気ないものを描くことで、ものに付随する個人の感情や記憶を表現しているようです。
部屋はその人を表し、部屋にあるものやその扱いを見ればその人がわかるとはよく言われることですが、YUの描く日用品には、たしかな温もりをもった人格を感じます。
家で過ごす日々、目に入るたくさんの身近なものたちにも、きっと「あなた」が宿っています。

Artist 04
古屋 真美
Mami Furuya

古屋は、自分の衣服という非常に身近な題材を扱い、リトグラフという版画の技法を用いて作品を制作します。
古屋は衣服の中には生活の歓びや痛みが内包しているといいますが、それは私たちの誰もが少なからず理解することができることなのではないでしょうか。
古屋の試みは、作品を版画で刷ることによってそれらを個人の所有から遠ざけることであるといいますが、私が卒展ではじめて目にした際は、和紙に刷られた版画が天井から吊るされた、インスタレーションという形で表現されていました。
版画には必ず原画があり、それを「刷る」という行為によって自分自身から距離を作ること、そしてインスタレーションという形で単体のみならず全体に視線を拡散することで、逆説的に「衣服」が包括的に内包するものへの意識を集めているようにも感じられ、それはまるで人間の持つ葛藤を見ているようであり、とても興味深く空間に身を置きました。
古屋が描いたこれらの衣服は、果たしてどのような感情や記憶を内包し、彼女は、そして私たちは、なぜそれらを遠ざけようとするのでしょうか。

Artist 05
リ・ジャクケイ
Li Ruoxi

リは生活の中で出会った強く心に訴えかける瞬間を切り取り、版画で表現します。リの言葉を借りれば「インスタントカメラで撮ったように」保存されたそれらの瞬間は、構図として不思議なものも多く、いったいこれはどこなのだろう、何の瞬間なのだろう、何を描いているのだろうと、時に首をかしげてしまいます。
例えば出展作品の一つのタイトルでもある「Dance」について言えば、踊りは音楽や身体の動きと共に感覚として時間の流れを感じさせる芸術ですが、切り取られたその瞬間が、なぜリの心に焼きついたのか、なぜここが「保存」されたのか。想像すると、作家の中を通り過ぎた時間の流れを感じるようです。
記憶の引き出しの中には、時として自分のまだ知らない感覚や感情が秘められており、開かれるタイミングを待っているのかもしれません。
あなたが「保存」したいのは、どんな一瞬ですか?

Artist 06
御村 紗也
Saya Mimura

御村は誰かにとっては視界の片隅にも入らないささやかな美しさを切り取り、シルクスクリーン等を用いてその場を再現します。
散歩の途中に見つけた道端の草花、窓から見える偶然不思議な形の木、水面に揺れる光…誰に気づかれることはないけれど、自分だけがそこに見いだした ささやかなきらめきは、宝物のように心に残ります。
御村は版を重ねながらもインクの透過度を繊細にコントロールすることにより、それらの一瞬のきらめきを作品の上にとどめようと試みています。
窓の外に目をやり、花を揺らす風を感じ、美味しいご飯を食べること。
御村の作品を前にすると、日常の中にもたくさんの美しさが潜んでいることを今更ながら思い出し、また、より多くの美しさを見つけることができる心を持ちたいと、私は思うのです。

Flowers / 2019 / パネルに油彩、シルクスクリーン
御村 紗也 Saya Mimura

※本作品は、サイト上でのお取り扱いがございません。

Artist 07
菊地 虹
KO Kikuchi

菊地の作品をはじめて見たのは卒展の会場である上野の美術館で、立ち並ぶ妙に難解なテーマや複雑な表現に挑もうとする作品に疲れかけていた時、私はその色彩の美しさと不思議な空白に魅せられました。
興味を持ってステートメントを読んでみると、菊地もまた難解な作品背景を説明していましたが、私の心に残ったのは、「すべてのモノに居場所を与えるとしたら、1つの場所に並べるとしたら、果たしてモノはどのように隣り合うべきなのだろうか」という一節でした。

キャンバス上の様々な色の絵の具やコルクなどは、一見すると無作為に並べられたようにも思えますが、それぞれに独立した美しさと他の要素との関係性を与えられています。
何かと比べることなくそのモノ自体に深くフォーカスしていくことは、純粋な存在理由や役割の受容、あるいはそれさえも必要ないのだという大らかな心の表れであるように思え、ステートメントとは裏腹に作品の持つ無邪気でおおらかな魅力に、合点がいったのです。

キュレーター:山本菜々子、山口峰子